せいかつとしゅみ

こんにちわ、齊藤カズヒロです。思ったこととかあったこととか書きます。ボチボチ

電子コミック界の最前線レポート<前編>

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こんにちわ。齊藤カズヒロです。
相変わらず熱い日が続いてますね。
こんな日は家でゆっくりゴロゴロしたいですね…。

 

さて、今回は「電子コミック」の講演会を聴講してきましたので、そのレポートをします。
近年、雑誌が廃刊・休刊したり、新しい電子書籍のアプリが配信されたりと、本やマンガをとりまく環境は激しく変わりつつあります。
まんがを描く者として(趣味ですけども)、前々から電子化の話には興味があったので、今回講演会を聞きにいきました。
講演会では、「現在の電子書籍の現状や将来」、「どうすれば電子コミックは売れるのか?」と言った内容まで言及していました。
電子コミックの作家のみならず、音楽配信や映像配信など、ネットを介した表現をしている方にとっても、役に立つ内容もあると思います。


ちょっと、長くなると思いますので<前半><後半>に分けて書きますね。
決して一度に書くのはメンドクサイからって訳じゃないのでね!!

 


さて本題に入ります。
僕が聴講したのは、8月1日に京都国際マンガミュージアムで行われた「電子コミック時代の漫画家生存戦略」という講演会。
登壇者は鈴木みそさん、菊池健さんのお二人。


鈴木みそさんはデジタル個人出版<Kindle Direct Publishing>で年間1,000万円を売り上げたまんが家として注目され、近年は電子書籍を取り扱っている出版社や編集者に業界の動向を聞いたルポマンガ「でんしょのはなし」を執筆しています。
菊池健さんはトキワ荘プロジェクトという、まんが家のたまごを同じ寮に住まわせ、プロを目指すことを目的とした事業のプロデューサーをされていたり、京都国際マンガ・アニメフェアにも関わっていたりするようです。

鈴木みそさんは、まんが家という職業に似合わないような容姿(肌は焦げ茶、髪も金髪)でとてもハキハキした喋り方をする方でした(笑)。
逆に菊池さんは黒っぽい服を着て、どちらかというとボソボソ喋っていたので、「逆!逆!」と思いましたね(笑)

 

それはいいとして。

 

講演会は「電子書籍の現在と将来」についての話から始まりました。
まず、電子書籍におけるコミックの割合なんですが、約8割だということです。
僕はこの数字、ちょっと意外だったんですが、皆さんはどう感じられますか?

だって、小説や雑誌なんかの<文字>をメインとした読み物のほうが、文字を追うだけなので、スマホipadでは読みやすいと思っていたからです。
逆に漫画は、セリフや絵(ほかに擬音や効果線なんかも)を読まないといけないので、個人的に読みづらいのでは?という印象を持っていました。
そこまで需要のあるものだったんですね。

 

紙の書籍・コミックは年々市場規模が縮小し、2011年~2014年の間では平均4%減2005年~2014年の間では平均6%減しているそうです。
逆に電子書籍・コミックは2011年~2014年を見ると200%増
ただし、電子書籍のサービス自体が新興の事業であることや、これから若手の表現者が育っていくのか、といった色んな問題があるようで、これからも著しく成長する、とも一概には言えないようです。


ただ、菊池さんによると、今の成長でいけば紙の市場規模が毎年4%減の場合、2020年の市場規模は紙6割、デジタル4割に。
紙の市場規模が毎年6%減の場合、2020年には紙とデジタルの市場規模はだいたい同じ割合になるそうです

 

2020年って、すぐそこの未来ですよね。というか東京オリンピックのある年!
そんな頃には、もしかしたら紙とデジタルの割合が半分に…と考えると、今、紙で頑張っている人、やっていこうとしている人にとっては焦ってしまう事象になってきますね。
もう完全にデジタルの時代に移行しようとしてるのだなぁ、と感じずにはいられません。

 

電子書籍を読めるアプリのシェア(国内)で見ていくと、Amazonkindle」が全体の3~4割を占め、1,000万ダウンロードを達成した「comico」や「ジャンプ+」、「マンガボックス」、「LINEマンガ」、「eBookJapan」などが追随しているようです。AmazonKindleが強いのは、誰でも気軽に作品を載せることが出来、海外の方にも販売することができる点であると思います。

 

また、アプリには「独自に編集部を持ち厳選された作品を掲載するもの」「規約を守れば誰でも作品を載せられるもの」の2種類があります。


どちらにもメリット・デメリットがあり、作家にとっては、自分にとってどちらが良いかを見極めたいところですよね。
「編集部を持っているアプリ」のメリットは、一緒に編集者と作品を作れるという点、デメリットはそのアプリの毛色に合った作品しか載せられないという点でしょうか。
しかし、集英社の「ジャンプ+」では、それまでのジャンプにはなかったような色のまんがも出しているようで一概には言えないのが本当のところです。
また、月給制のようなアプリもあり(たとえば「comico」だと週一で8ページほどの漫画を描くと月々20万円をもらえるそう)そこがメリットと感じる方もおられるでしょう。

もう一方、「編集部を持たないアプリ」のメリット、デメリット。
メリットはどんな作品でも載せられるので、表現の幅が広いという点と、売上が出版社を通さないので売れた分だけ売上になる、という点でしょうか。

デメリットとしては、既に人気の作品に埋もれやすいという点と、宣伝などは自分でやらなければいけないという点です。

 

この宣伝は自分でやる、という点がめちゃくちゃ大きいんです。
講演会の講師を務める鈴木みそさんも「Kindle Direct Publishing」で販売した作品は宣伝なども自分でされていました。

 

このデジタル化社会で、作家としてどう宣伝していくか?なぜ宣伝が必要なのか?という内容は<後半>の記事へ続く!!